マスクと口呼吸
◎マスクをすることで口呼吸になるのはなぜか
①気道の抵抗が増えるから
まず、気道の抵抗が増えることが口呼吸になってしまう大きな原因です。気道の抵抗とは、鼻から肺にかけて気道に流れる空気の抵抗のことです。
もともと、鼻呼吸は鼻のもつフィルター機能を使って肺にきれいな空気を送る仕組みであり、空気に抵抗が生じます。そこにマスクを着用するとフィルターが増えることになり、さらに気道抵抗が高まるのです。
それに対し、口呼吸はダイレクトに気道へ空気が流れるため、空気の抵抗は少なくなります。その結果、マスクをしたまま鼻だけで呼吸すると苦しくなり、楽な口呼吸になってしまうのです。
②熱を逃がそうとするから
夏場などの暑い時期は、特にマスクの中に熱気がこもります。口呼吸は鼻呼吸に比べて熱や水分を逃がしやすく、口呼吸になってしまいがちです。
③ 口周りの筋力が衰えるから
マスクをつけて表情豊かに話す機会が減ったと感じている方も多いのではないでしょうか。口周りの筋肉は使わないと衰えてしまいます。
さらに、マスクをしていることで人からの視線も感じなくなり、油断をして口が開いたままになってしまうことも原因の1つです。
◎口呼吸の問題点
空気中には、ホコリや細菌、ウイルス、花粉、有害な排気ガスなど、身体にとって有害なものがたくさん浮遊しています。口で呼吸をしてしまうと、これらが直接喉を通り、肺へ侵入してしまいます。鼻呼吸では鼻の構造的に防げることが、口呼吸では簡単に身体の中へ有害物の侵入を許してしまっているのです。
口呼吸をすると、ウイルス感染のリスクが高まるだけでなく、のどが乾燥しやすくなり、唾液の分泌が悪くなります。歯や歯茎にも大きな影響を及ぼすなど、悪影響が数多く出てきます。
①口やのどの乾燥
口呼吸で過ごしていると口やのどが乾燥し、唾液の分泌が悪くなります。それにより虫歯や歯周病の原因になるだけでなく、口臭やいびきの原因にもなります。また、喉やリンパが炎症をおこしやすくなることも考えられるでしょう。
そのほかには、睡眠中の口呼吸は身体が緊張状態と勘違いして、眠っている間も身体が休まらないことがあります。
②免疫機能の低下
口呼吸は免疫機能の低下を招く恐れもあります。例えば自律神経が乱れ、風邪を引きやすくなったり、アトピーや高血圧、喘息やアレルギーなどの引き金となります。
③舌や口の筋力の低下
口呼吸により舌や口の筋力が低下することで、舌が正しい位置から離れ、歯並びが悪くなったり、噛み合わせが悪くなることもあります。
それらはやがて顔のゆがみにつながり、たるみ・シワ・二重アゴの原因になります。
④その他
その他、口呼吸によってもたらされる状態として考えられるのは、以下の通りです。
慢性的な扁桃炎
口腔内細菌の増加による誤えん性肺炎
二酸化炭素を多く吐き出す影響による脳貧血や過呼吸、情動不安
マスクをしていると、息苦しさや緊張感のなさからついつい口呼吸になってしまいがちですが、様々なリスクを回避するためにも日頃から鼻呼吸を心がけましょう!